2015年6月1日月曜日

サマソニ2015日曜トリのファレル・ウィリアムスとは?【後編】


ファレル・ウィリアムスが、マドンナのアルバムを手掛けて再びプロデューサーとして成功を収めてから、トラウマとなっていたソロ活動を8年ぶりに再開させるまでの、2008年~2014年を振り返る。

2008年にマドンナのアルバム『ハード・キャンディ』を手掛けたファレルは、N*E*R*Dとしての活動に移る。一度完成させたアルバムを破棄し、一から作り直したアルバム『ナッシング』(2010年)の収録曲「ヒプノタイズ・ユー」をダフトパンクと共作したことが、「ゲット・ラッキー」(2013年)のコラボに繋がる。

ヒット曲「ゲット・ラッキー」を気に入ったコロンビア・レコードの重役の熱意に打たれ、トラウマとなっていたソロ活動を再開。2014年、8年ぶりのソロアルバム『ガール』をリリース。収録曲「ハッピー」は、この年最も売れたシングルとなった。

いまキャリアの絶頂期を迎えているファレル・ウィリアムスは、2015年の夏、サマーソニックのヘッドライナーとしてソロ初来日する。

不動のヒットメイカー(2008年)


2008年、あるビッグアーティストの楽曲制作依頼が舞い込む。


マドンナだ。女性ソロアーティスト最高の3億枚以上のセールスを誇るクイーン・オブ・ポップが、新作『ハード・キャンディ』のプロデューサーの一人として、ネプチューンズを指名。常に先を読み、時代を動かしてきた彼女に抜擢されたということは、ファレル・ウィリアムスが時代の寵児として認められた証であった。

このアルバムのプロデューサーとして、マドンナの御眼鏡に適ったのは、ネプチューンズ、ティンバランド、ジャスティン・ティンバーレイクだった。
マドンナのアルバムを手伝ったとき、ティンバランドが俺にハンパじゃないプレッシャーを与えてきたんだ。
そんなとき、ファレルにマドンナが追い討ちをかける。
このままだとティンバランドが手掛けた曲の方が多くなりそうね。―マドンナ
嫉妬したファレルは、そこから必死にビート作りに励む。

結果、ネプチューンズがアルバムの半数を手掛けた『ハード・キャンディ』は、世界36カ国で第1位を獲得。ファレルはマドンナとの共作により、ヒットメイカーとしての地位を不動のものにした。


不滅のN*E*R*D(2008年~2012年)


そんな中、N*E*R*Dはヴァージン・レコードからインタースコープ・レコードに移籍し、心機一転。エナジーみなぎるアルバム『シーイング・サウンズ』をリリースする。


クラブから派生した独特のグルーヴ感あふれる、ボルチモア・ブレイクスといった先鋭的なビートを用い、新境地を開拓した。


そして2009年、N*E*R*Dに女性シンガーであるリーアが新たに加入。

翌2010年初め、ファレル、チャド、シェイの3人は、マイアミのレコーディングスタジオで20曲完成させていた。しかし…
何かが違った。ジッと座って、できた曲を聴いていた。わかるんだよなぁ。コアのファンにはわかるんだよ。こんなの俺たちのおとじゃねえって。―シェルドン・ヘイリー
ほんとに言いたかったことは、何も言えてなかったよ。 大切なものが、欠けていた。―ファレル・ウィリアムス
ファレルたちは、あえてリスクを犯して、これまで作った曲を壊し、一から制作することを決意する。モチベーションを新たにゼロから再び制作を開始。

こうして完成したのが、2010年6月発表のアルバム『ナッシング』だった。


ファレルは、未来的で革新的でタイムレスなアルバムを作りたかったといっている。今までになく手間をかけた内容になっている。60年代、70年代のファンクやロックの影響が色濃く反映されていて、中にはダフトパンクが参加した「ヒプノタイズ・ユー」というディスコ調の曲が収録されている。これが後の「ゲット・ラッキー」のコラボの布石になっている。


N*E*R*Dの探究心によって作り出されたレトロ・フューチャーな「ヒプノタイズ・ユー」では、フランスのエレクトロ・デュオ、ダフトパンクと共作。ファンの期待にこたえるために、自分たちの求めたサウンドを売り出した。


いま創った音楽は、未来にもなくならない。
一から作り直したアルバム『ナッシング』は、N*E*R*Dのバンド名の由来である「真の意味で死ぬ者はいない」を体現したのであった。

新たな潮流(2013年)


近年、エレクトロ・ダンス・ミュージック、EDMと呼ばれるダンス・ムーヴメントが世界中で大ブームを巻き起こしていた。

しかし2013年、それとは一線を画す新たな流れをファレル・ウィリアムスが生む。それは生音を詰め込んだ古きよきソウルミュージックに立ち戻るという動きだった。

まずは、ファレルがヴォーカル、作曲、プロデュースで参加したロビン・シックの「ブラード・ラインズ」。初期のモータウン・ポップス時代を代表するマーヴィン・ゲイのヒット曲「ガット・トゥ・ギヴ・イット・アップ」をモチーフにした楽曲。


結果、12週連続全米1位を記録。世界14カ国で1位を獲得し、大ヒット作となった。
この曲がすごいのは、音の輪郭がはっきり分かる点だ。ドラッグで感覚を研ぎ澄まさなくても分かる。音が鮮明なんだよ。近頃の曲にはグルーヴ感がないよね。シンセサイザー主体の音楽ばかりで、何だか味気ない。
さらにファレルがヴォーカルと制作に参加した、ダフトパンクの「ゲット・ラッキー」では70年代後半のディスコ・サウンドに回帰。32カ国でトップ10入りを果たし、世界規模のヒットを記録。


2013年、ファレルが一役買った、新たなレトロ・ソウルが、シーンで人気を博した。

結果、第56回グラミー賞では、最優秀プロデューサー賞ほか、ダフトパンクと共に計4部門の栄誉に輝いた。

そして、このダフトパンクとの「ゲット・ラッキー」が、その後のファレルの運命を大きく左右することになる。


世界を虜にする男(2014年~)


初めてソロアルバムを作ったときは、自己中心的過ぎた気がするんだ。度胸の広い部分もあったし、俺にとって大切なものについても歌った。秘話もいくつかあったけど、とにかく「俺、俺、俺、俺、俺」という感じだった。今回のアルバムとの違いは、「ソロ制作して欲しい」と言われるとは思っていなかったときに、「作ってほしい」と言われたことだ。いつかソロアルバムを作るという構想は前からあったけど、でも作る気はなかった。前回のトラウマがあったから、二の舞になると思っていたんだ。
「ゲット・ラッキー」を気に入ったコロンビア・レコードの重役は言った。
再びソロアルバムをやってみないか?きみがアルバムを作りたくないのは知っているけれど、その考えを変えてほしい。やりたい音楽をやってくれればいいだ。
重くのしかかるソロ活動のトラウマ。しかし、コロンビア・レコードの重役の熱意に打たれたファレルは決意する。再びソロ作を制作することを。

こうして絶頂を極める2014年3月、ソロとして8年ぶりとなるアルバム『ガール』を発表する。


音楽的には昨今のディスコ・ブームを踏まえながら、ファレルのキャリアを集大成した内容となっている。ファレルは、このソロアルバム『ガール』に関して、「緊急性のあるものにしたいと思った」とコメントしている。じっくり作り込むというよりは、いま絶好調の自分の勢いを封じ込めること、今このタイミングでリリースすることが重要だと判断して作られた。そんなカジュアルさ、軽やかなスタンスで作られたアルバムということが、このアルバムがさらっと聴ける魅力となっている。

そして、ファレルの象徴となる楽曲が生まれる。「ハッピー」。そこには、老若男女問わず愛される普遍的なメッセージがあった。

(歌詞)それは俺がハッピーだから。屋根を取り払った気分なら、一緒に手を叩こう。それは俺がハッピーだから。幸せが真実だと思うのなら、一緒に手を叩こう。それは俺がハッピーだから。自分の幸せが何か分かっているなら、一緒に手を叩こう。
世界で幸せを届けたシングル「ハッピー」は結果、10週連続全米1位。175の国と地域のiTunesで1位を記録。2014年、最も売れた楽曲となっている。

さらに人々が曲に合わせて踊るミュージックビデオは、YouTubeでの再生回数が既に6億6000万回を突破。今なお増え続けている。世界各地でビデオの真似をした派生動画が作られるなど、「Happy」ムーヴメントが巻き起こった。

2000年代以降のポップミュージックのボーダレス化を促進した最大の功労者の一人。ファレルはファッションアイコンとして、ルイヴィトンのようなハイブランドとコラボしている一方で、ニゴーとストリートウェアの「ビリオネア・ボーーイズ・クラブ」を立ち上げて、キッズから熱烈な支持を受けている。彼のそうしたスタンスは音楽活動においても同様で、グラミー賞のようなセレブなシーンで成功を収めても、ストリートからの人気も全く衰えることがない。ボーダレスな活動をしながらも、非常にバランス感覚に長けた人という印象。そこは元々、裏方気質のある人なので、物事を客観的に見ることができる彼ならではの特性。そんな優れたバランスこそが、ファレル・ウィリアムスという人の最大の武器であり、強みとなっている。

やっぱり誰でも自分に与えられた状況から色々学び取っていくべきものなんだよ。だから、これまで自分に与えられてきたチャンスに感謝すべきなんだ。―ファレル・ウィリアムス


サマソニ2015日曜トリのファレル・ウィリアムスとは?【前編】
http://kkssskk.blogspot.jp/2015/05/2015_26.html

サマソニ2015日曜トリのファレル・ウィリアムスとは?【中編】
http://kkssskk.blogspot.jp/2015/05/2015_31.html

サマソニ2015日曜トリのファレル・ウィリアムスとは?【後編】
http://kkssskk.blogspot.jp/2015/06/2015.html


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