2016年3月23日水曜日

【UFC】ついにNY州でMMA解禁!19年間に及ぶ戦いの歴史


1997年にニューヨーク州でMMAが禁止されてから19年。

2016年3月22日、ニューヨーク州議会下院でMMA法案が審議され、賛成113、反対25で法案が成立しました。

現在アメリカでは、49の州でMMA解禁されており、MMAを禁止している州はニューヨーク州のみとなっていましたが、19年の戦いの末、同州でもついにMMAが解禁。

解禁に至るまでの歴史を振り返ります。


1997年、ジョン・マケイン上院議員によるバッシング、各州でMMA禁止の法律が制定


1993年11月のUFC誕生から約3年。当時のMMAは、まだスポーツとしてのルールが整備されておらず、ケージの中で相手を殴りつける選手を抑えるためのわずかなルールしか規定されていなかった。

実際ルールとして禁止されていたのは、「噛み付き」と「目潰し」のみで、まさに究極(=アルティメット)の格闘技イベントであった。

そのため、この暴力性が権力者たちの批判の的となってしまう。


約10年後に大統領候補となる共和党ジョン・マケイン上院議員は、初期UFCのビデオを見て嫌悪感を示すと、UFCを「人間の闘鶏」と呼び、全50州に大会を禁止するように投書した。

すると36の州がMMAを禁止した。ニューヨーク州はUFC12(1997年2月)の開催直前にMMAを禁止。そのためUFCは場所を変えて開催することになってしまう。

この法律の制定により、MMA団体とニューヨーク州の19年間に及ぶ戦いが始まる。


~2000年、UFC冬の時代、ルールの整備


各州でMMAが禁止され、ケーブルテレビですら放送できなくなったUFCは、冬の時代に突入する。

しかし、MMAが批判されたことで、UFCは各州のアスレチックコミッションに協力し、ストライキングやグラップリングという要素を保ちながら暴力性を排除するルールを導入していく。

年月 大会 導入ルール
1997年2月 UFC12
階級制の導入
ヘビー級(+91kg)、ライト級(-91kg)
1997年7月 UFC14
オープンフィンガーグローブ着用の義務化
4点ポジション(グラウンド状態)における蹴りの禁止
1997年10月 UFC15
髪を引っ張る行為の禁止
首筋、後頭部への打撃禁止
頭突きの禁止
小さな関節(手指・足指等)を取る行為の禁止
金的への攻撃の禁止
1998年3月 UFC16
旧ライト級(-91kg)がミドル級に
新ライト級(-77kg)の設置
1999年7月 UFC21
1ラウンドの制限時間を5分に
2000年11月 UFC28
ニュージャージー州アスレチックコミッションの標準ルール導入
同州での認可
トランクスの着用義務化(道着等の着用不可)
2001年5月 UFC31
階級区分の変更
ライト級、ウェルター級、ミドル級、ライトヘビー級、ヘビー級の5階級に
2001年9月 UFC33
ネバダ州アスレチックコミッションのルール導入
同州での認可

2001年、ズッファ社のUFC買収、ネバダ州でMMA解禁


2001年、経営難に陥った当時のSEG社から、ラスベガスでカジノを経営するズッファ社が、UFCの経営権を200万ドルで買い取る。

ズッファ社のCEOロレンゾ・フェティータが、前年までネバダ州アスレチックコミッションの委員だったこともあり、同州のルールを導入すると認可が下り、大都市ラスベガスで開催できることに。これ以降、UFCはラスベガスを拠点に活動していく。


2007年からUFCが本格的にロビー活動を始める


2005年、米大手ケーブルテレビ、スパイクTVで放送されたリアリティ番組「ジ・アルティメット・ファイター(TUF)」が高視聴率を記録したことで、一気に世間の人気を獲得したUFCは、世界のMMAシーンを変えていく。

2006年12月に当時軽量級世界最大の団体WECを買収。そして2007年3月、かつて世界最大級の団体であった日本のPRIDEを買収する。

また2007年からUFCは、MMAを禁止する各州で本格的にロビー活動を始める。ニューヨーク州では、2013年初めまでの5年間で160万ドル使い、MMA解禁に取り組む。


NY州議会上院で法案が通るも、下院で7年連続採決なし


2000年にNY近郊ニュージャージー州アスレチックコミッションのルールを採用し、2001年からはネバダ州アスレチックコミッションのルールを採用したことで、MMAの標準ルールが整備されていき、ロビー活動をしたこともあり、次第に各州でMMAが合法的なスポーツとして認められていった。

しかし、ニューヨーク州議会では過去7年間、毎年、上院でMMA法案が通るものの、下院では法案として採決もされずにいた。

下院での法案採決を妨害していたのが、大物シェルドン・シルバー下院議長であった。


2015年9月、UFCがNY州を憲法違反として訴えるも却下


2015年9月、UFCが翌年4月にマディソン・スクエア・ガーデンで大会を開催することを発表。

同時に同州でのMMA禁止が憲法違反になるとして、連邦裁判所へ訴状を提出しました。

しかし、2016年1月、訴状は却下され、大会は中止となった。


2016年1月、反対派の急先鋒シェルドン・シルバー下院議長が汚職で逮捕される


2016年もMMA法案の成立が不可能かと思われたが、”ある事件”によって、事態は急展開を見せる。

1994年から20年以上もニューヨーク州議会下院議長をしていた民主党シェルドン・シルバー(70)が、収賄などの疑いで逮捕された。

シルバー議長はMMA法案の反対派で、上院で通った法案を、下院で全く取り上げなかった人物であった。

シルバー議長の逮捕によって、新しく議長に選出されたのは民主党賛成派のカール・ヘイスティ氏。MMA法案がいよいよ下院で採決されるのではないかと期待が高まっていた。


2016年3月、ついにMMA法案がニューヨーク州下院を通る


そして、2016年3月22日、ニューヨーク州議会下院でMMA法案が審議され、賛成113、反対25で法案が成立。

上院下院の両方で法案が通ったことで、残すはアンドリュー・クオモ州知事が署名するのみとなった。あとは、120日以内にニューヨーク州アスレチックコミッションがルールを定めると、同州でMMAが合法となる。

クオモ知事は賛成派で、既に法案成立を見込み、MMAの予算を組んでいる。


UFC会長兼CEOロレンゾ・フェティータ「NY最初の大会はMSGだ」


UFCロレンゾ・フェティータ会長兼CEOは、このようにコメントしています。

ここに至るまで長い時間が掛かった。ニューヨークのUFC選手とファンを代表して、ヘイスティ議長、モレル多数党院内総務、法案に賛成票を投じてくれた民主党と共和党の下院議員の皆さんに心より感謝の意を表したい。 
クオモ州知事が法案に署名し、同州アスレチックコミッションが適正なルールを定めてくれた暁には、ニューヨーク州最初の大会を、世界で最も名高いアリーナ、マディソン・スクエア・ガーデンで開催することを約束しよう。 
また、私たちは、(同州の)バッファロー、ロチェスター、ユーティカ、アルバニー、ブルックリンでも大会を開催したいと思っている。ワクワクしてるよ。

UFCでは、今後3年間、同州で年に少なくとも4大会開催すると正式にコメントしています。

New York passes bill to legalize MMA
http://www.ufc.com/news/New-York-passes-bill-to-legalize-MMA

また、ロレンゾ・フェティータは、年内に1大会、できれば2大会開催したいと発言しています。

UFC Going All In, Aiming for Two Events in New York in 2016 | MMAWeekly.com
http://www.mmaweekly.com/ufc-going-all-in-aiming-for-two-events-in-new-york-in-2016

UFCローレンス・エプスタインCOO「フランスやアジアのMMA禁止国でも解禁されるだろう」


UFCローレンス・エプスタインCOOは、2007年12月からニューヨーク州のMMA解禁に取り組んでいた人物だ。彼はこのように語っています。

本当に価値があることだ。ニューヨークで初めて大会を開催できることに、この上なく興奮している。これからいっぱい開催したい。 
ニューヨークは私たちにとって重要な市場だ。そこで開催される大会のPPVがどれだけ売れるか知っている。テレビのレーティングにおいて、どれだけのファンを獲得できるかも。ニューヨークは、はっきり2つの市場に分けられる。その両方ともUFCにとって本当に重要な市場だ。 
一つは、ニューヨーク・シティ。マディソン・スクエア・ガーデンやバークレイズ・センターがある。ここは国際都市であり、世界のメディアにとって最重要なところで、流行の発信地なんだ。ニューヨーク・シティでは、大規模で重要な大会を開催できると思っている。 
ニューヨークの西部と北部には、バッファローやロチェスターのような都市がある。ここには熱心なファン層がいるんだ。それに、この地域はカナダに近く、カナダ人ファンが簡単に国境を越え、大会に来れるところでもあるんだ。こうした機会が持てたことが本当に嬉しいよ。 
UFCは、これまで国内外の大きなスポンサーの獲得に成功してきた。しかし、ニューヨークのようなMMAが非合法の地域があることは、スポンサーを獲得するためには良くなかった。MMA解禁によってUFCは新しいスポンサーを獲得するだろう。 
加えて、 世界の規制の観点で見れば、これまで私たちは、フランスやアジア(タイなど)のようなMMA禁止国で、「ニューヨークではどうなの?」「なんでニューヨークでこのスポーツは禁止されているのか?」と聞かれていた。今後は「もう禁止されている州はない」と答えられるんだ。 
私たちは、これまでアメリカ、カナダの各州や世界でMMA解禁について議論してきた。この論争に負けたことはない。事実は常に私たちの味方をしているからだ。そして私はいつもこの日が来ることを待っていた。もう数年早く来ると思っていたが、最終的にこうなったことを嬉しく思っている。

UFC COO reacts to landmark NY MMA vote
http://www.ufc.com/news/ufc-coo-lawrence-epstein-reacts-to-mma-bill-passing-ny-state-assembly


1 件のコメント:

  1. 議論に勝ち負けとか言ってる時点で気持ち悪い。

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